学校は、成長期にとって重要な学びとコミュニケーションの場です。地域材を使った木造校舎にすることで、快適に学べるだけでなく、地産地消や環境保護についても学べます。ここでは、木造建築の学校の事例を特徴とともに紹介しています。
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延床面積5,256.47平方メートルの中学校の事例で、校舎棟は一部S造の木造2階建て、屋体棟は一部SRC造の大断面集成材です。利用木材のうち90%以上が県産材で、分離発注方式で調達した樹齢80年前後の市有林スギと鶴岡産スギ材を使用しました。
豪雪地域のため、屋根の勾配や雁木空間の確保など安全性を考慮したこと、地域材と地域の大工の職人技を活かした造りが特徴です。内部も格子壁や無垢柱がふんだんに使用され、冬季でも屋内でスポーツが可能な屋体棟は、市有林スギと鶴岡産スギ材が支える空間となっています。
歴史ある潮来市にふさわしい工法として木造建築にした、延床面積3,912平方メートル、RC造と木造2階建ての小学校の事例です。木造2棟の間にRC造を1棟配置することで、木造1棟あたりの面積を1,000平方メートル以下にし、不燃材料を使用せずに建築できました。
利用木材のすべてが県産材で、屋根は木製張弦トラス構造です。また教室部分の2階床は、2段卍型重ね格子梁をそれぞれ逆方向に架けて支えていることが特徴です。階段の手すりや内部の窓枠、教室の引き戸まですべてが木材です。
校舎の延床面積3,034.22平方メートル、屋内運動場の延床面積782.04平方メートルの、一部鉄骨造の木造2階建て小学校の事例です。地元の山の原木の伐採から製材、加工、建設まですべてに地元業者が関わり、「木のまち鹿沼」が誇る小学校です。
土台と床はヒノキ、それ以外はスギを使用し、屋内運動場は大断面集成材の柱と無垢材のトラス梁構造です。面格子耐力壁による採光の工夫や、机とイスも粟野地区の間伐材で製作するなど、地元の木材でいっぱいの学校になりました。
延床面積16,518平方メートルの鉄筋コンクリート造5階建ての小中学校一体整備において、内装仕上げと床部に一部木質化を行った事例です。木材の使用率は0.014立方メートルで、江東区で定めている数値の0.008立方メートルを上回っています。
内部は階段や床に木材を利用し、中学校の中庭には木製デッキをつくりました。都会の中で里山のような学習環境を提供し、さらにベンチを設置して生徒同士が交流できるスペースを作りました。
延床面積802.64平方メートルの、木造とS造ハイブリッドの2階建て多目的体育館の事例です。高さが必要なボール競技のための空間確保に、石橋のアーチ構造を参考にしました。ライズを高く取った木のアーチ構造で軸力を垂直に伝えて、鉄骨には水平力を負担させる仕組みです。
県産材の利用は木材全体のおよそ92%と高く、構造材ではアリーナの柱と梁にはスギを、造作材では壁やキャットウォーク柱型、木製建具などにスギとヒノキ、下地材では内部壁下地、屋根垂木にヒノキを使用しています。
延床面積999.5m平方メートル、RC造+木造構造の保育施設の事例です。RC造で地震力を負担させ、木造は建物本体と屋根を支えています。屋根の軒先から突き出た部分に木材を利用することで、軒先の天井部分は木のぬくもりを感じるような仕上がりです。軒は木造の上部に補強として鉄骨梁を併用しています。RC造は厨房、保育室や職員室は木造となっており、木造の壁は断熱効果があり寒さを防ぎます。
隅田川のほとりの市街地に建つ地上3階建ての保育施設の事例です。延床面積1,625.47平方メートルで、木質耐火部材“COOL WOOD (1時間耐火仕様・柱)” を採用しています。COOL WOODは、燃え止まり層に石こうボードを使用した木質耐火部材で、加工しやすさと、デザインやコストに合わせてさまざまな木材を使用して製造できるのが特徴です。耐火部材を使用した木造保育園として都内でも規模の大きな保育施設です。3階には長さ9メートルのホールを設置しています。
『復興の森』に隣接した森の学校の事例です。延床面積は3,999.07平方メートルで、教室の開口部は枝分かれしたような形態を持つ「樹状柱」を使用しており、まるで森の中に囲まれたような雰囲気を作り出しています。上下の部材をジグザグに補強していくラチス柱・梁が登り梁を支えています。高窓から自然光が入り教室全体が優しい空間で包まれ、子どもたちは窓から季節の移り変わりを体感できます。
日本家屋のような建築をイメージして造られた延床面積699.30平方メートルの保育園の事例です。遊戯室を中心として各保育室、事務室、給食室などを配置してどこからでもスムーズに出入りできるようにしています。遊戯室に隣接するステージは日常的にも使えるよう高さを低めに設定しており、緞帳を降ろし引き分け戸を開放すると周辺の人達も園児たちのお遊戯が見られるように設計されています。
気候や風土の違いがあるため、積雪の多い地域では、屋根の形状を含めた安全性を考慮する必要があります。学校は基本的に規模の大きな建築物のため、準耐火基準をクリアした木造建築であるかも重要なポイントです。また屋内運動場など大空間の建物には、必要であれば鉄骨造と柔軟に組み合わせて強度を確保するという方法もあります。 地元材を使用するメリットは、コストや見た目の美しさだけではなく、学校で学ぶ生徒の教育にも関わってきます。どのような木材をどこにどんなふうに配置するかをしっかり検討することで、環境や地産地消を実感できる場になるでしょう。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。