栃木県で建てられた非住宅木造建築の実例を集めてご紹介しています。地産材利用の状況などもまとめてみました。
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伐採から製材、加工、建設に至るまで、すべて地元の業者が携わり、地場産業の力を結集して建てられたのがこの鹿沼市立粟野小学校です。土台と床にはヒノキが使われていますが、そのほかは市内のスギを使用。なんとその数5,000本にも上るのだとか。
材工分離発注を行い、木材は地元粟野財産区から寄贈された木材を使いました。屋内の運動場は、大断面集成材の柱と無垢材のトラス梁構造し採用。一般に流通している部材と同じ寸法でたてることができました。
ふみの森もてぎは、栃木県南東部に位置する茂木町の公共施設。茂木町は町の面積の65%を山林が占めていて、木材の産出も多い街です。ふみの森もてぎは、そんな茂木町の中心市街地に複合文化施設として建設されました。
この町は、もてぎ上の城下町として発展してきた歴史があります。文化交流が多いこともあって、文化・芸術活動への熱量はあるものの、それを実現する場所がないということから、文化の発表・展示の場や図書館として使われることが目指されました。
その建設にあたって、注目されたのがその広大な町有林。およそ400ヘクタールにもなるという町有林は、スギやヒノキの人工林です。施設建設に適した木材を調達できることから、町有林の木材を使った非住宅木造建築として設計されたという事例です。実際、下地などの見えない部分を除けば、すべて町有林の木材を使っているとのこと。
その大きな特徴は、市販の規格の中小断面材を使っているということ。大断面集成材などを使っていないので、市販の流通材でもこれだけの木造建築が建てられるという事例を示す意図もあったのだとか。
この施設の中で一番広い空間は、996平方メートルあるという図書館。吊り構造とアーチ構造という2つの構造を組み合わせた「連接サスペンアーチ構造」というものを採用しました。これによって、柱と柱の距離が16.2メートルという広大な空間を木造で作ることに成功しています。交流広場は「平行弦トラス桁構造」、町民ギャラリーは「重ね垂れ木によるゲルバー梁構造」を採用するなど、さまざまな工法を駆使しながら町有林の無垢材を使って建設し、さまざまな工夫が見られる事例となりました。
栃木県では、公共施設の建築において、木材利用を促進するための「とちぎ木材利用促進方針」を2011年に制定し、2023年7月に改正しました。この改正により、脱炭素社会の実現を目指し、木材利用のさらなる促進を図ります。県内の全ての建築物での木材利用の推進や、県産木材の利用拡大を規定しています。
これらの木質・木造化において、地域材がどれくらい使われているのかは不明です。とはいえ、上でご紹介した事例のように県産材を使うケースもあると考えれば、地域材の利用促進も進んでいるのかもしれません。
全国の非住宅木造建築の状況
木材を使用した公共建築物の建設は、2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて以降、国と自治体を中心に推進されていますが、まだまだ対応できる工務店や建築会社が少ないのが現状。
このサイトでは、非住宅木造建築の構造設計から委託できる企業を紹介。中規模・大規模・環境配慮といった案件テーマ別におすすめ企業を選定しているので、ぜひ参考にしてください。
非住宅木造建築において、構造設計から木材加工、調達、施工まで委託できる企業を紹介。造りたい建物ごとに強みがある企業をピックアップしているので、依頼に合わせて選択してください。
保育園・図書館
広さの異なる空間が混在する
中規模施設が得意
住宅用柱材に適したMIYAGAWA、大規模で特殊加工に適したHUNDEGGERやUNITEAM等の多彩な機械を保有。様々な広さ・空間へ適した機械を使い分けることで、設計や加工の自由度が広がります。木の特性をいかし意匠性が高く、愛される建築を実現します。
展示場・大規模ホール
大断面集成材を多く必要とする
大規模建築が得意
CLT木材の国内シェアNo.1(※1)を誇る供給力や、大断面集成材専用の工場を保有し量産体制を整えています。大規模建築物のような、多くの構造材が必要になる案件でも、納期を心配することなく安定して木材を確保することができます。
サステナブル施設・店舗
SDGsがテーマの
環境配慮建築が得意
サステナブル建築物等を推進し、先進的な技術を積極的に取り入れています。コンセプト立案から依頼でき、企業の環境配慮における取組姿勢や思いを設計やデザインなどに落とし込みます。企業イメージの向上や環境配慮の姿勢を対外的にアピールすることに繋がります。